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学際シンポジウム

  • jsyppmeeting
  • 2020年12月21日
  • 読了時間: 3分

2000年度3月

「遺伝子組換え作物をめぐる諸問題と社会・政治・経済」

組換え食品を昏迷させる7つの幻想

宮田 満(日経BP社)


 96年11月から輸入が始まっていた組換え農産物だが、99年8月の農水省による義務教示決定とキリンビールによる「ビールの原料に組替え原料非使用検討」という発表を受け、一挙に食品加工用原料として日本市場から排除される動きが出た。2000年4月から、組換え農産物を使用している食品にJAS表示も始まる。残念ながら今回の表示は、科学性がなく、必ずしも消費者の選択の材料や自ら学習する材料とはなり得ず、JAS法の延命と前農相の選挙区である北海道の国産ダイズ農家の人気取りに終わっている。

 それでは消費者の正しい理解を得て、組換え技術を食糧分野にも浸透させるにはどうしたら良いか。組換え食品を取り巻く7つの幻想をまず直視し、まず消費者と対話する方法を追求しなくてはならない。時間はかかるだろうが、誠実に対応すれば消費者のバイオに対する理解は得られると確信している。


<<7つの幻想>> 1.食品にはリスクがない。 2.農産物はスーパーの裏で採れる。 3.遺伝子組換えは難しい。 4.遺伝子組換え自体を検出できる。 5.政府に任せれば安心だ。 6.正しい情報は与えられる。 7.人は合理的に行動する。


日米欧の農業生産・貿易構造とGMO

蔦谷 栄一(農林中金総合研究所)


 世界の食料基地を国家戦略とするアメリカ農業の国際競争力は低下する一方、環境への配慮を余儀なくされる中で、GMOは”救世主”として登場し急激に増加している。GMOの最大の輸入国である日本は、世界でも稀な低食料自給率にあり、食料自給構造の変革なしにはアメリカ依存から脱却することは不可能である。今一つの極であるEUは「環境」「安全性」を楯にアメリカと対立しているが、EUは知られざる穀物輸出地域でもあり、巧みに戦術を使い分けしたたかな戦略を展開している。


文化問題としての遺伝子組換え

白幡 洋三郎(国際日本文化研究センター)


 遺伝子組み換え技術の分野は来るべき世紀の人口・食糧問題の解決に決定的に重要な役割を果たすことが期待できる、というのがこの分野の推進を力づける大きな説得力になっている。だが「環境に対する安全」と「食品としての安全」が保障されれば遺伝子組み換えによる食糧増産には何ら問題がないのだろうか。人間をたんに自然的存在ではなく文化的存在と見たとき、「生存」の維持は「文化としての自然」や「食文化」を無視してはあり得ないと考える。新しい技術は、文化をより豊かにできるのか否かを考えたい。


人類生態学の視点からみた遺伝子組換え技術

中澤 港(東大大学院医学系研究科)


 人類生態学は、ヒトの生存を、技術、文化などを通した環境との相互作用を含めて、ヒト=生態系という視点で包括的に理解することを目指す学問である。遺伝子組換え技術に関しては、生産段階での有用性や、消費段階での安全性という視点に比べて、生態系との相互作用、自給自足農耕社会への影響、ヒトの食物観・自然観・文化的規制との相互作用という点への注意が払われることが少なかった。ヒトの長期的な生存のためには、それらすべてを含めたヒト=生態系へのインパクトとフィードバックを検討する必要があることをいくつかの事例とともに示し、問題解決のためのパースペクティヴを提示することを試みる。

 
 
 

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